数週間前のこと、いつものように朝食前に近所の地下水を頂きに行った夫が、その日はなかなか帰ってきませんでした。どうしたのかな、遠回りして散歩でもしているのかなと思っていたら、「怪我しちゃった」と言う声が階下から聞こえてきました。
何事かと様子を見にいくと、地下水が入っているはずのガラス瓶は割れ、それを入れていたエコバッグまで破れています。そしてなぜかオリエンタルなお香のような香りが漂っていました。
お水を頂いた帰り道に、歩道に落ちていた桃の実に足をすべらせて転んでしまったとのことでした。なんとか立ち上がったものの、転んだ際に腿裏を痛めて動けずに固まっていたところを、偶然通りかかったインド人女性のドクターに助けてもらったそう。動けない夫に代わり、割れたガラスの破片を素手で拾い、割れずに済んだ2リットルのペットボトルが2本も入ったエコバッグを持ち、自宅前まで送って下さったそうです。
夫はあまりの痛みに頭が回らずお礼を言うのが精一杯で、連絡先も聞けずきちんとしたお礼もできずに後悔しきりでした。
こんな話をある患者さんにしていたら、その患者さんが「恩送りでいいんじゃないですか」とおっしゃったのです。以前にもその患者さんと映画ペイ・フォワードの話や「恩送り」の話をしたことがありました。今こそその恩送りをしたらいいのではと、教えてくださいました。
直接インド人のドクターに恩返しができなくても、違う誰かに親切にすることでそのご恩を送っていく。夫はお礼ができなかったことを気に病んでいたけれど、そう考えたら、少し気が軽くなったそうです。
仕事では、患者さんからお怪我されたお話を聞くことがよくありますが、実際に自分の身に起こるとこんなに慌てるものなのかとも思ったそうです。今回のことは患者さんのお気持ちがさらによく分かる学びになったと二人で話しています。数週間たち、腿裏の肉離れも治り普段どおりの身のこなしになっていますのでご心配なく。
健やかな日々でありますように。






